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よみがえれ、

​日詰平井邸

醸造所。

日詰平井邸が本来持っているポテンシャルは2つの要素で成り立っています。

1つは家族の住居であるということ。従事者を含めると一時期は数十名が生活を営んでおり、来客用の居室を含めて多くの部屋数を誇る邸宅。台所、風呂、手洗など生活設備は当時の姿に限りなく近く保存されています。しかし、昭和末期の13代夫人没後は居住者はいなくなり、この機能は失われました。

もう1つは醸造所の存在。6代目の1772年酒造創業から、家業として営む日本酒の醸造所も母屋に併設されています。しかしこれもまた、昭和初期に盛岡市紺屋町へ本拠を移した以降は、この場所で酒は造られていません。

日詰平井邸が現代によみがえるということは、「住居」「醸造」の再現であると考えています。

​■ヒライユウキ|日詰平井邸 note

https://note.com/hira6kiku

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日詰平井邸は、岩手県の県庁所在地盛岡市から車で40分ほど南下した紫波町日詰商店街に位置しています。

 

官民連携事業モデルとして全国から視察が訪れるオガールを中心とした新中心街からほど近く、旧繁華街として栄えた日詰商店街は中小企業庁の「はばたく商店街30選」にも選出され、地方が抱える課題を行政と民間が協力して解決に取り組むエネルギーのある、人口3万3000人の町。

町内には4つの酒蔵とワイン、サイダーなどのブルワリーが稼働しており、日本三大杜氏に数えられる南部杜氏ゆかりの風情を現代に伝えています。国道を挟んで東西には広大な田園地帯が広がり、稲作、麦、果樹などがその風景をみせてくれます。2本の大きな山脈に囲まれた地形は四季の寒暖が大きく、山々からは清冽な水が染み出ています。

近江商人のルーツを汲む歴史のいきさつ、現代に伝える農と醸の風土はまさに酒のまち。

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日詰平井邸で醸造を目指すお酒は「その他の醸造酒」製造免許に基づいた、清酒製造技術をベースとする新ジャンル酒です。通称クラフトサケ。
清酒製造免許は、現在新規に交付されておらず清酒製造を開始するためには既存免許の譲渡もしくは輸出限定清酒製造免許の取得に限られています。クラフトサケは第3の新規参入ルートとして近年注目されており、清酒の技術や世界観を持ちながら、清酒や果実酒(ワイン等)に分類されない自由な発想の製造方法による醸造酒が各ブリュワリーから発売されています。

私たちが発想する醸造方法の軸は下記の2通り。


A. 米、米麹を用いた清酒と同様のもろみを濾さずに瓶詰め(≒どぶろく)
B. 米、米麹を用いた清酒と同様のもろみに副原料(花弁、樹木、果実など)を加え、濾して瓶詰め(清酒に近い透明なビジュアル)

清酒醸造技術への敬意を持ち、あくまでそれを究める姿勢でありながら、清酒では法制上表現することができない「濾さなくてもよい」「自由な副原料」という選択肢を存分に活用した醸造方法の開発を進めていきます。日詰平井邸が醸すのは、歴史上、法制上、消えていったもうひとつの日本酒の可能性なのです。